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副業を知られないようにする方法〜確定申告時の「住民税」項目に注意


 


POINT

  • 副業の収入が会社に知られる主な原因は「住民税の額」の変動。

  • 知られたくない場合、確定申告書の第二表の記載に工夫が必要。

  • 社内での雑談やSNSでの情報漏れも注意点として挙げられる。


最近、多くの人が副業に興味を持ち始めています。

厚生労働省が副業・兼業を解禁する方向性を示したことにより、サラリーマンの副業は今後一層増加する見込みです。

現在も、株の取引や不動産の経営、オンラインストアの運営や休みの日にコンビニやUberでのアルバイトで、副収入を得る人が増えてきています。

しかし、副業からの収入が職場に知られると、困った状況になることもあるようです。

この記事で、副業を知られないようにするコツやサラリーマンの間で流行っている副業、その確定申告のポイントなどを解説します。


 

副業を知られないようにする方法


副業からの所得が20万円以上の場合、原則として確定申告が必要となります。

会社に副業を知られる事例の多くは、この確定申告に関連しています。しかし、だからといって20万円を超える所得がある場合に申告を避けるわけにはいきません。適切な確定申告の記載方法を遵守すれば、副業が会社に知られることはないでしょう。


(1)確定申告時の「住民税」項目に注意を

副業からの収入を確定申告する場合、それが勤務先の給料と一緒に計算され、次年度の住民税として記載されるため、勤務先にその情報が伝わるリスクが考えられます。

副業の収益を勤務先に知られたくない際は、確定申告書内の「住民税に関する事項」部分で、「自分で交付」に○を入れましょう。

これにより、副業の収入(雑所得)に関する住民税のお知らせが自宅宛てに来るようになり、その部分を自分で納付することにより、副業を勤務先には気づかれずに済むこととなります。


確定申告書第二表

(2)軽率に他人へ話さない

副業を職場で明かしたくない場合、不用意に同僚たちとその情報を共有することを避けることが大切です。 副業での達成感や収益に満足していると、つい他人に伝えたくなるかもしれませんが、「人の口に戸は立てられぬ」ことを忘れずに。 意図せず職場での話のタネになったり、あえてそれを吹聴する人がいることも考えられます。飲み会などでの会話にも十分に気をつけてください。 「秘密にしたいことは、他者に話さない」ことを基本にしましょう。


(3)SNSでの投稿内容に注意を

SNS上、匿名と思われる場面でも、ふとした情報から誰であるかが明らかになる場合が少なくありません。

本名を連想させるアカウント名は控え、個人情報や住所、仕事の内容が伺えるような内容の投稿は、控えるよう心掛けましょう。

勤務先や部署、取引先の詳細も、当然控えるべきです。



サラリーマンの間での副業の増加


多くのサラリーマンが「副業を会社に知られたくない」と考えている一方で、現在、副業を許容する企業が増えつつあります。

この流れの背景には、厚生労働省の方針も影響しています。


(1)厚生労働省が副業を推進

厚生労働省は「働き方改革実行計画」をもとに、副業や兼業の拡大を推奨しています。「副業・兼業の促進に関するガイドライン」において、副業の利点として次の4点を提示しています。

① 離職せずとも別の仕事に就くことが可能となり、スキルや経験を得ることで、労働者が主体的にキャリアを形成することができる。
② 本業の所得を活かして、自分がやりたいことに挑戦でき、自己実現を追求することができる。
③ 所得が増加する。
④ 本業を続けつつ、よりリスクの小さい形で将来の起業・転職に向けた準備・試行ができる。

さらに、企業も従業員の希望に応じて、副業や兼業を認めるよう検討することが促されています。

判例を踏まえれば、原則、副業・兼業を認める方向とすることが適当である。副業・兼業を禁止、一律許可制にしている企業は、副業・兼業が自社での業務に支障をもたらすものかどうかを今一度精査したうえで、そのような事情がなければ、労働時間以外の時間については、労働者の希望に応じて、原則、副業・兼業を認める方向で検討することが求められる。

参照:厚生労働省 副業・兼業の促進に関するガイドライン(令和2年9月改定)


(2)副業を行う人口が増加

日本策定金融研究会が集めた情報によれば、副業の創業者やフリーランスの拡大など、起業家としての取り組み方は多岐に渡っています。職務や家の手間をはさむ時間で小さな事業を展開する「時間制限起業家(1週間で35時間以下を事業に充てる)」も増加の一途をたどっており、このカテゴリーの人々は29歳以下が最も多く、全体の39.4%を占めています。

このような「パートタイム起業家」の主な職業において、41.8%が「正社員」として登録されている点から、副業としての創業者が増加している状況が読み取れます。


参照:日本政策金融公庫総合研究所「2020年度起業と起業意識に関する調査」


(3)サラリーマンの副業のトレンド

将来的には、サラリーマンが副業をすることが増えると見られており、副業の職種はアンケートモニターやネットオークション、株式運用など、さまざまです。

今回は、すでに副業に取り組んでいるサラリーマンの中で注目の職種をピックアップします。


不動産経営

マンションやアパートなどを購入し、そこから得られる賃料を収益とする「不動産経営」は、サラリーマンが副業として取り入れる動きが見られます。

アパートを建てると固定資産税や相続税の軽減が可能で、節税策として活用する方が多いようです。


ライター・デザイナー

時間や場所に縛られずに業務を行えるライター・デザイナーも、副業としての注目度が高まっています。特定の分野にフォーカスすることで、関連する業務の依頼が増え、安定した収入が期待できます。さらなる価値を提供すれば、主業以上の収益を上げることも。


ネット販売

近頃のサラリーマンの副業のトレンドとして、オンラインマーケットでの商品取引が挙げられます。

常設の店舗とは違い、24時間どこからでもアクセス可能なので、利益が上がることもしばしばです。


休憩時間を利用した自転車配達員

「特定の技能がない」「インターネットはあまり得意でない」という方々に選ばれる副業が、空き時間に活用する自転車配達員です。

「Uber Eats」が代表的で、特別な資格等が不要で、自分の都合に合わせて労働が可能なため、サラリーマンの中でも注目の職種となっています。


「Uber Eats」という食事配達サービスは、2016年に日本進出時は、サービス地域が東京の一部で提供店舗も限られていましたが、コロナの影響とともに配達員の需要が増し、配達員の数も次第に増えてきています。


 

副業の確定申告について


副業をする人で、20万円以上の所得がある場合、確定申告が求められます。

「所得」とは、「収入-必要経費」を指し、その金額が20万円を上回った際に確定申告が要されるわけです。

コンビニや飲食店でのパート収入は「給与所得」としてカウントされ、一方、執筆料、講演料、アフィリエイト報酬などは「雑所得」として扱われます。

給与所得は、確定申告を行うことで過払いとなった税金を取り戻せる可能性があります。

雑所得では、必要経費が計上できるため、確定申告を通じて税金の負担を軽くできる可能性があります。


(1)所得が20万円を越える場合の申告義務

執筆料、講演料、ビットコインの売却益などの収益については、「雑所得」として申告を行います。しかし、1つの会社や組織からの給料やアルバイト収入(給与所得)が存在し、給与所得と退職所得以外を除く収益の合計が20万円を下回る場合、申告は不要となります。


副業収入が「給与所得」として支払われた場合

給与形式での支払いの際、源泉徴収によって所得税が徴収されることが一般的です。

支払先の会社が出す支払調書に、「支払金額」とともに「源泉徴収税額」の記載があるはずです。この税金は必要経費を控除する前の支払額をベースに算出されたものなので、申告を行えば税金の還付が期待できることも。


副業収入が「雑所得」の場合

「雑所得」においては、経費の控除が可能です。言い換えれば、該当収入を得るためのコストを控除できるのです。

例えば、執筆料の場合、作成に必要となった書籍や、会議費、旅費交通費などが経費として計上できるため、申告を行うことで所得の額を減らし、節税が可能となります。


経費を控除した結果、所得が20万円を下回る場合は、確定申告の義務はありません。ただし、既に源泉徴収されている副業収入の場合、20万円未満であっても申告をすることで利益を得られる場合があります。



(2)副業の確定申告の方法

サラリーマンの副業の確定申告では、確定申告書一表、二表を使います。

給与所得の源泉徴収票の「支払金額」を、確定申告書第二表と第一表に記入します。

第二表の所得の種類は「給与」と記入し、支払者の名称、源泉徴収税額も記入します。


副業の支払調書の「支払金額」を、確定申告書第二表と第一表に記入します。

第二表の所得の種類は「雑(業務)」と記入し、支払者の名称、源泉徴収税額も記入します。


源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」を転記します。


所得金額の「雑所得(業務)」の欄に、収入金額等から必要経費等を差し引いた金額を記入します。ここでは必要経費を5万円で計算しています。


給与所得と雑所得の合計額を記入します。


(3)第二表「住民税」の部分へ〇を記入

先に触れた通り、「確定申告書第二表」の「住民税に関する事項」の「自分で納付」部分に〇を記入することで、その部分の所得に関連する住民税は個人の責任で支払うことになります。これにより、職場に副業が知られることを防ぐことができます。

この部分に〇を入れない場合、職場に送られる住民税に関する納付書の住民税額が増加してしまい、「給与が大きく増えていないのに、住民税が増えているのは、何か別の収入源があるのでは」という疑念を持たれるリスクが生まれるので、慎重に取り扱いたいものです。


確定申告書第二表

勤務先に副業が知られたくない時は「確定申告書第二表」の「住民税に関する事項」の「自分で納付」に〇をする。

(給料から住民税が引かれず、この分の収入にかかる住民税は自分で納付することになります。)


 

まとめ


これまで、サラリーマンの副業に関する実態や、それを職場に知られないようにするテクニックについて触れてきました。月に数万円の収益を上げる副業は様々存在し、自分の趣味や特技を収益源に変えたいという方々にとっても、適した副業があることでしょう。

副業を始める際は、税金を安くし資産を増やすためにも、適切な確定申告を心掛けましょう。


確定申告をする時には、報酬や料金、契約金や賞金に関する支払調書や、必要経費の領収書を準備しておきましょう。

1年間の経費を計算し、それを収入から差し引いて、所得を算出します。

※この経費を引いた結果、所得が減少しますので、所得が20万円未満であっても税金の還付が期待できるため、必ず確定申告を行いましょう。



 


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